元々は、塗師屋の親方というのは、職人を住み込みで受け入れていました。
塗師屋には、親方と先輩職人がいて、修行に来た新入りを一から育てます。
新入りは、約三年の修行を終えると、塗師屋の親方は、一人前の職人として認め、年期明け(ねんきあけ)という卒業式的な祝事を行います。一人前になった職人は、その後、育ててくれてありがとうという意味を込めて、一年間は習った塗師屋で御礼奉公を行い、独立をします。職人は、塗師屋が下地を教えていたら下地職人、上塗りを教えていたら上塗り職人として生計を立てます。
輪島塗だけではなく日本の伝統工芸の多くはこのような形態で伝統工芸の技術が伝承されてきたのだと思います。
昔ながらの徒弟制度の在り方ですが、昨今の地方都市の過疎化や雇用彦用の関係の変化などで、塗師屋の親方の在り方も変わらざるを得ないという実情があります。